【アガルート社労士講座|労働基準法】実務に役立つ基礎知識コラム【労働契約編第4章】

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【アガルート社労士講座|労働基準法】実務に役立つ基礎知識コラム【労働契約編第4章】

 

2022年の社労士試験に向けて、1年前から勉強を始めている方も多いのではないでしょうか。
 

合格するのに大切なのは、勉強を継続することです。

当たり前だと思われるかもしれませんが、残念ながら多くの方が勉強を継続できず、社労士試験を受験することなく、挫折してしまいます。
 

こちらの「ヤムチャ総務課長ブログ」では、そんな方が少しでも減ればと、みなさんの普段の生活などにも関わりある内容と絡めて、現役の社労士がわかりやすく法律の解説をしています。
 

今回は、「労働契約法」の4回目になります。
 

労基法で最も重い罰則「強制労働」にあたる3つの禁止事項とは?


 

労基法で一番重い罰則が規定されているのは、労基法第5条の「強制労働の禁止」に違反した場合になります。
 

第5条についての詳しい解説は、こちらの「【アガルート社労士講座|労働基準法】実務に役立つ基礎知識コラム【強制労働編】」を参照ください。
 

【アガルート社労士講座|労働基準法】実務に役立つ基礎知識コラム【強制労働編】
「社労士の受験勉強だけでなく、実務で使える内容と一緒に覚えたい」という方は、ぜひこちらのコラムをご覧ください。 「ヤムチャ総務課長ブログ」では、現役社労士が「アガルートの社労士講座」を受講して、合格後も実務で役立つ基礎知識を詳しく解説しています。

 

「うちの会社は大丈夫!」という社長さんもいるかもしれませんが、知らない間に違反していることもあるので、注意しましょう。
 

3つの労基法5条違反

  • 第16条 賠償予定の禁止
  • 第17条 前借金相殺の禁止
  • 第18条 強制貯金

 

まず「賠償予定の禁止」について解説します。
 

どんな場合でも労働者に違約金を科すことはできないのか?


 

(賠償予定の禁止)
第十六条 使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

《参考元》e-Gov法令検索
 

労基法では、使用者が労働者に対し、違約金を定めたり、実害が発生していないのに損害予定額を一定額定めることを禁止しています。
 

これらが労働者を退職させないための「足止め策」として、利用されるケースがあるためです。
 

例えば次のようなものが挙げられます。
 

違約金又は賠償予定の例

  • 1年以内に退職したら違約金100万円
  • 販売ノルマに足りない分罰金を科す
  • 会社の所有物を破損させたら1000万円支払えなど

 

この規定は、労働者本人だけでなく、両親や配偶者などの家族に対してする契約も対象です。

また「契約をしてはならない」とあるため、このような契約をした時点で違反となります。
 

ただ、実際に使用者が実損害額を請求することは禁止されていないので、そちらも合わせて覚えておきましょう。
 

この規定に関連する判例として、競業避止義務に違反した労働者の退職金を半額にすることは無効であると争われました。
 

重要な判例なので、こちらの「三晃社事件」を確認しておいてください。
《参考元》労働基準判例検索-全情報
 

続いては、第17条「前借金相殺の禁止」の解説です。

 

労働者が会社から借金することは禁止なのか?


 

金銭の貸借関係と労働関係を分離することで、借金の肩代わりとして無償で労働させるなどの身分的拘束を禁止した法律になります。
 

(前借金相殺の禁止)
第十七条 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない。

《参考元》e-Gov法令検索
 

「前借金」とは、労働契約の締結の際に、労働することを条件に使用者から借金し、その賃金によって借金を弁済することを約する金銭のことを言います。
 

本条は、前借金制度を禁止しているのではなく、前借金と賃金を相殺することを禁止しています。
 

また「その他労働することを条件とする前貸の債権」については、何が「債権」に該当するのかがポイントとなります。
 

例えば次のようなものは「債権」とならないと解されています。
 

債権に当たらない事例

  • 人的信用に基づいて受ける金融(住宅購入資金の融資等)
  • 労働者の申し出に基づく、少額の貸付(労働者の生活に支障が生じない程度)
  • 返済完了前でも退職の自由が保障されている

 

以上のような、当該貸付が労働者の身分的拘束を伴わないものであれば、本条に違反しません。
 

また本条は、使用者による相殺を禁止したものであるため、労働者からの意思であれば相殺は禁止されていないことは押さえておきましょう。
 

では、使用者と労働者の双方の合意による「相殺契約」という形は、本条に違反しないのでしょうか。
 

こちらは、使用者の方が優位なことから、強制的に契約を締結させられることが考えられるため、第17条に違反すると解されています。
 

最後は「強制貯金」について見ていきましょう。
 

強制貯金に抵触しない任意貯蓄の仕組みとは?


 

労基法第18条1項では、労働者の足止め策になること以外にも、経営危機を理由に払い戻しが困難になることも考慮し、「強制貯金」の制度を全面的に禁止しています。
 

ただし、2~7項で「任意貯蓄」の制度を規定し、一定の要件を満たすことで、認められることになっています。
 

(強制貯金)
第十八条 使用者は、労働契約に附随して貯蓄の契約をさせ、又は貯蓄金を管理する契約をしてはならない。
② 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理しようとする場合においては、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政官庁に届け出なければならない。
③ 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合においては、貯蓄金の管理に関する規程を定め、これを労働者に周知させるため作業場に備え付ける等の措置をとらなければならない。
④ 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならない。この場合において、その利子が、金融機関の受け入れる預金の利率を考慮して厚生労働省令で定める利率による利子を下るときは、その厚生労働省令で定める利率による利子をつけたものとみなす。
⑤ 使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、労働者がその返還を請求したときは、遅滞なく、これを返還しなければならない。
⑥ 使用者が前項の規定に違反した場合において、当該貯蓄金の管理を継続することが労働者の利益を著しく害すると認められるときは、行政官庁は、使用者に対して、その必要な限度の範囲内で、当該貯蓄金の管理を中止すべきことを命ずることができる。
⑦ 前項の規定により貯蓄金の管理を中止すべきことを命ぜられた使用者は、遅滞なく、その管理に係る貯蓄金を労働者に返還しなければならない。

《参考元》e-Gov法令検索
 

任意貯蓄が認められるには、次の要件を満たす必要があります。
 

任意貯蓄の要件

  1. 労働者の過半数で組織する労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者との書面による「労使協定」を締結すること
  2. 上記の「労使協定」を所轄労基署長に届け出ること
  3. 貯蓄金管理規定を定め、作業場に備え付ける等の措置を取り、労働者に周知すること
  4. 返還理由を限定するなどして、貯蓄金を返還することに遅滞が生じないようにすること

 

以上の要件を満たさないものは、「強制貯金」にあたることになります。
 

また任意貯蓄が「社内預金」である場合は、さらに次の要件を満たすものでなければなりません。
 

社内預金の要件

  1. 協定書の必要な記載事項を定めること
  2. 厚生労働大臣が告示する下限利率の利子をつけること(年5厘以上
  3. 1年間の管理状況を毎年4/30までに所轄労基署長に報告すること

 

労使協定に記載が必要な事項も合わせて押さえておくといいでしょう。
 

必要的協定記載事項

  1. 預金者の範囲(法9条の労働者に限る)
  2. 預金者の1人当たりの預金額の限度
  3. 預金の利率及び利子の計算方法
  4. 預金の受入れ及び払戻しの手続き
  5. 預金の保全の方法

 

預金者の範囲は、労基法第9条に定める「労働者」の範囲でなければなりません。

「労基法の労働者の範囲って?」という方は、こちらの「【アガルート社労士講座|労働基準法】実務に役立つ基礎知識コラム【労働者編】」を参照してください。
 

【アガルート社労士講座|労働基準法】実務に役立つ基礎知識コラム【労働者編】
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あまり試験で出題される論点ではありませんが、過去に出題されたこともあるので目を通しておくといいでしょう。
 

今回は、労基法で禁止されている3つの規定について解説しました。

これらの規定に抵触すると、労基法で一番重い罰則である「法5条強制労働」にあたる場合があるので、注意して学習したいところです。

 
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労働契約編第3章はこちら

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