【アガルート社労士講座|労働基準法】実務に役立つ基礎知識コラム【解雇制限編】
同じことを続けていると、飽きてくる経験を誰しもがしているかと思います。
それは受験勉強でも同じことです。
社労士試験は、短くても半年ほどの勉強を毎日のように続けなければなりません。
そんな合間のちょっとした休憩時間という感覚で、当ブログをご覧頂ければと思います。
「ヤムチャ総務課長ブログ」では、初学者の方がなるべく挫折せず、実務にも役立つ知識が付くように、現役の社労士が詳しく解説しています。
今回は、「解雇制限」について解説していきます。
労働者を解雇してはいけない2つの休業とは?
民法の規定では、使用者および労働者は、2週間前の予告によって、いつでも労働契約を解約できることになっています。
ただ、使用者側からの「解雇」の意思表示については、労働者に与える様々な影響を考慮し、労基法と労働契約法では、民法の規定を排除し、「解雇」について一定程度制限をしています。
(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
解雇に正当な理由がなければ、権利の濫用として「無効」となります。
解雇に関する規定で、解雇権濫用法理である本条が、最も重要な考え方になります。
労基法でも一定の場合、解雇権の行使を制限(労基法第19条)し、また30日前までに予告しなければならないとされています。
(解雇制限)
第十九条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。
② 前項但書後段の場合においては、その事由について行政官庁の認定を受けなければならない。
使用者は、労働者が次の2つの休業期間中及びその後30日間は、解雇することができません。
解雇制限期間
- 業務上の負傷又は疾病による休業期間
- 産前産後の女性の休業期間
1は業務上によることが必要なため、私傷病による休業期間中は制限されません。
この私傷病には、「通勤災害」も含まれることは覚えておきましょう。
2は、「産前産後休業」の期間中であり、育児休業期間中は制限されないことは注意が必要です。
こちらの規定は、業務上の理由で負傷していても休業せず出勤していたり、産前休業を取得せず出勤する場合は、解雇制限がされないことは押さえておいてください。
また解雇制限期間中であっても、次の場合は解雇制限が解除されます。
解雇制限の解除
- 療養開始後3年経過し、「打切補償」を支払う場合
- 天災事変その他やむを得ない事由により事業の継続が不可能となり、行政官庁(所轄労基署長)の認定を受けた場合
「打切補償」は、平均賃金の1200日分の金銭のことをいいます。
療養開始から3年経過してからになるので、すぐ「打切補償」を支払えばいいというわけではないことは、注意しましょう。
「そもそも平均賃金ってなに?」という方は、こちらの「【アガルート社労士講座|労働基準法】実務に役立つ基礎知識コラム【平均賃金】」のコラムをご覧ください。

最後に解雇制限期間中の注意点を3つ紹介します。
注意点
- 解雇制限期間中は、たとえ労働者の責に帰すべき事由があっても解雇できない
- 解雇の制限であって、解雇予告は可能
- 有期契約の場合は、契約期間が優先される(期間満了とともに契約は終了)
解雇制限期間中であっても、「解雇予告」することは認められます。
その場合は、解雇制限期間が終了した時点で解雇が成立することになります。
「まず解雇予告について解説してくれ!」という方は、こちらの「【アガルート社労士講座|労働基準法】実務に役立つ基礎知識コラム【解雇予告編】」のコラムをどうぞ!

今回は「解雇制限」について、解説しました。
解雇は会社員の方にとっても、興味深い内容だと思いますので、細かいところまでしっかり押さえていきましょう。
詳細な内容は、「アガルート社労士講座」の各種カリキュラムで学ぶことができます。
アガルート社労士講座の詳細は、こちらの「アガルート社労士講座の評判・口コミは?【受講経験者が講座の全容を解明】」を参考にどうぞ!

