【アガルート社労士講座|労働基準法】実務に役立つ基礎知識コラム【フレックスタイム制】

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【アガルート社労士講座|労働基準法】実務に役立つ基礎知識コラム【フレックスタイム制】

 

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「ヤムチャ総務課長ブログ」では、現役の社労士が実務でも役立つ知識を社労士試験の範囲に沿って、解説していくブログです。

初学者の方でも、わかりやすい内容になっていますので、ぜひご覧ください。
 

今回は「フレックスタイム制」について解説します。
 

大企業が採用するフレックスタイム制とは?


 

始業終業の時刻を労働者の決定に委ねることで、労働者のワークライフバランスに資することができます。
 

それにより、働きながらでも子育てや介護、自己啓発の時間を確保することができ、メリハリのある働き方を実現するという趣旨で、フレックスタイム制ができました。
 

フレックスタイム制の条文は、非常に長いので、各項ごとに細かく見ていきましょう。
 

採用要件の確認


 

第1項では、フレックスタイム制を採用するための、2段階の手続きについて定めています。
 

第三十二条の三 使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定に委ねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、一週間において同項の労働時間又は一日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。
一 この項の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲
二 清算期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、三箇月以内の期間に限るものとする。以下この条及び次条において同じ。)
三 清算期間における総労働時間
四 その他厚生労働省令で定める事項

《参考元》e-Gov法令検索
 

フレックスタイム制は、次の2段階の定めが必要となります。

 
1段階目:就業規則等での定め

まず、労働者数が常時10人以上の場合は就業規則で、10人未満の場合は、就業規則に準ずるもので、次のことを定める必要があります。
 

フレックスタイム制の対象となる労働者について、始業及び終業の時刻の双方をその労働者の決定に委ねること

 

この場合、始業と終業のどちらか一方のみを労働者の決定に委ねるものでは足りませんので、ご注意ください。
 

2段階目:労使協定で定める事項

就業規則で定めをしたら、次に労使協定で下記の表の4つの事項を定めなければなりません。
 

絶対的協定事項

協定事項 具体的内容
①対象となる労働者の範囲 営業職の労働者など
②清算期間 起算日を定め、3ヶ月以内の期間で定めること
③清算期間における総労働時間 清算期間中の所定労働時間の合計が、「法定労働時間の総枠」を超えないこと
④標準となる1日の労働時間 時間数のみ定めれば足りる

 

平成31年の法改正により、清算期間が1ヶ月以内から3ヶ月以内へ拡大されました。

その清算期間中の所定労働時間の合計は、次の計算式で求めた時間を超えてはいけません。
 

法定労働時間の総枠の計算式

1週間の法定労働時間 × 変形期間の歴日数 / 7

 

こちらの総枠を超えない限り、1日8時間、1週間40時間を超えたとしても、割増賃金は発生しません。

以上の4つの事項が絶対に定めないといけない事項に対して、次の2つは任意に定めることができる事項になります。
 

任意的協定事項

協定事項 具体的内容
コアタイムの開始及び終了の時刻 労働者が必ず、労働しないといけない時間帯
フレキシブルタイムの開始及び終了の時刻 労働者が自己の選択により労働できる時間帯

 

「コアタイム」と「フレキシブルタイム」は、定めることは義務付けられていませんので、絶対的協定事項を定めることで、フレックスタイム制を採用することができます。
 

清算期間1ヶ月以内と1ヶ月超えの比較


 

第2項では、清算期間が1ヶ月を超える場合の規定がされています。
 

② 清算期間が一箇月を超えるものである場合における前項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分中「労働時間を超えない」とあるのは「労働時間を超えず、かつ、当該清算期間をその開始の日以後一箇月ごとに区分した各期間(最後に一箇月未満の期間を生じたときは、当該期間。以下この項において同じ。)ごとに当該各期間を平均し一週間当たりの労働時間が五十時間を超えない」と、「同項」とあるのは「同条第一項」とする。

《参考元》e-Gov法令検索
 

清算期間が1ヶ月以内と超える場合の採用要件を次の表で、確認しましょう。
 

清算期間ごとの採用要件比較表

清算期間が1箇月以内の場合 清算期間が1箇月を超え、3箇月以内の場合
就業規則等でフレックスタイム制を採用する旨を定める
労使協定の行政官庁への届け出は不要 労使協定の行政官庁への届け出が義務
清算期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えないこと。特例事業の場合は44時間を超えないこと。 清算期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えないこと。特例事業の場合であっても、40時間を超えないこと。
区分期間を平均し、1週間当たりの労働時間が50時間を超えないこと

 

比較表のとおり、清算期間が1箇月以内と超えるのとでは、少し採用要件が変わってきます。

清算期間が1箇月超える場合は、次の点に注意してください。
 

清算期間が1箇月超えの注意点

  • 労使協定の行政官庁(所轄労働基準監督署長)への届け出が義務
  • 特例事業であっても、労働時間の1週間平均を40時間以内に収めないといけない
  • 区分期間(清算期間開始から1箇月ごとに区分した期間)を平均して、1週間当たり50時間以内に収めないといけない

 

もし区分期間ごとの労働時間の平均が50時間を超えた場合は、使用者はその月に割増賃金を支払わないといけません。
 

例えば、次の例でいえば、区分期間ごとの「④1週間平均労働時間」が50時間以内であるため、区分期間ごとの割増賃金は不要です。
 

3箇月を超える清算期間の例

①月(暦日数) ②法定労働時間の総枠 ③実労働日数 ④1週間平均労働時間(③÷(①/7))
3月(31日) 177.1時間 215時間 48.5時間
4月(30日) 171.4時間 175時間 40.8時間
5月(31日) 177.1時間 130時間 29.4時間
合計 525.7時間 520時間

 

ただし、区分期間ごとの平均が50時間以内だったとしても、3箇月以内の清算期間で「法定労働時間の総枠」を超える場合は、割増賃金の支払いが必要となります。
 

例でいうと、3,4月の2ヵ月間を清算期間とした場合を見てみましょう。

 

  1. 法定労働時間の総枠:348.5時間(40時間×61日÷7)
  2. 2ヵ月間の実労働時間:390時間(215時間+175時間)

 

よって2ヵ月間の場合は、41.5時間分の割増賃金の支払いが必要です。
 

ただ、清算期間が3ヶ月間(3~5月)の場合は、総枠が525.7時間に対して、実労働時間の合計が520時間のため、割増賃金の支払いが不要となります。
 

1箇月を超える清算期間を設定すると、「区分期間ごとの平均労働時間」と「清算期間の法定労働時間の総枠」を確認する必要があるので、給与計算の対象者は注意しましょう。
 

完全週休2日制の取扱い


 

一週間の所定労働日数が5日の企業(完全週休2日制)でも、曜日の巡り合わせによっては、法定労働時間の総枠を超えてしまうこともあり得ます。
 

具体例

  • 歴日数:31日
  • 所定労働日数:23日
  • 法定労働時間の総枠:177.1時間(40時間×31日/7)
  • 1日8時間労働した場合の労働時間合計:184時間(8時間×23日)

 

具体例のとおり、その月の曜日の巡り会わせと労働日の設定によって、週5日で毎日8時間労働を守っていても、法定労働時間の総枠を超えてしまう現象が起こることになります。
 

3項では、一定の条件を満たせば、特例が認められることが規定されています。

 

③ 一週間の所定労働日数が五日の労働者について第一項の規定により労働させる場合における同項の規定の適用については、同項各号列記以外の部分(前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)中「第三十二条第一項の労働時間」とあるのは「第三十二条第一項の労働時間(当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、労働時間の限度について、当該清算期間における所定労働日数を同条第二項の労働時間に乗じて得た時間とする旨を定めたときは、当該清算期間における日数を七で除して得た数をもつてその時間を除して得た時間)」と、「同項」とあるのは「同条第一項」とする。
④ 前条第二項の規定は、第一項各号に掲げる事項を定めた協定について準用する。ただし、清算期間が一箇月以内のものであるときは、この限りでない。

《参考元》e-Gov法令検索
 

こちらの規定により、次の2つの要件を満たすことで、1週間当たりの労働時間の限度を超えることがきます。

 

特例の2要件

  1. 完全週休2日制で働く労働者(1週間の所定労働日数が5日の労働者)であること
  2. 労使協定において、労働時間の限度を「清算期間における所定労働日数に8時間を乗じて得た時間」と定めること

 

以上の要件を満たすことで、次の式で計算した時間が1週間当たりの労働時間の限度となります。
 

特別な計算式

8 × 清算期間における所定労働日数 ÷ 清算期間における歴日数/7

 

つまり、完全週休2日制の企業が「1箇月当たりの労働時間の限度は、184時間とする」などと労使協定で定めることで、「8時間×23日×31日/7」の41.5時間が1週間平均の法定労働時間となります。
 

そのため清算期間での1週間当たりの平均労働時間が41.5時間超えない限り、割増賃金は発生しません。
 

またフレックスタイム制を採用する際、労務管理の担当者は、次の点にも注意する必要があります。

 

  • 総労働時間を超えた分の労働時間を、次の清算期間の総労働時間の一部に充当することは、許されない
  • 総労働時間に達しない分の労働時間を、次の清算期間中の総労働時間に上積みすることは、許される
  • 一斉休憩が必要な場合は、コアタイムを設ける必要がある
  • フレックスタイム制を導入したから、使用者が労働者の労働時間を把握しなくていいというわけではない

 

法改正により、フレックスタイム制の制度内容が拡大されたことで、その内容が煩雑となりました。

細かいところまで、制度内容を理解していないと、残業の未払いが発生し思わぬトラブルになることもあり得ます。
 

運用前に、一度シミュレーションするなど時間を掛けて、運用を開始するようにしましょう。
 

詳細な内容は、「アガルート社労士講座」の各種カリキュラムで学ぶことができます。
 

アガルート社労士講座の詳細は、こちらの「アガルート社労士講座の評判・口コミは?【受講経験者が講座の全容を解明】」を参考にどうぞ!
 

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