人気資格、社労士の難易度を徹底解析!【毎年4万人が受験する理由も深堀します】

社労士

人気資格、社労士の難易度を徹底解析!【毎年4万人が受験する理由も深堀します】

「社労士試験がどのぐらい難しいのか知りたい!」「社労士の資格を取ると儲かるの?」「法律の勉強初めてだけど大丈夫かな?」

そんな悩みにお答えします。

社労士試験は、毎年約4万人が受験をし、その6%ほどしか合格できない難関資格の一つです。

ただ社労士試験の特徴を知り、正しい方法で学習すれば、働きながらでも短期で合格することが、十分可能な資格です。

本記事では次のことについて解説します。

本記事の内容

  • 社労士資格の難易度を徹底解析
  • これから社労士のニーズが増え続ける理由
  • 法律初学者でもこれを押さえれば大丈夫!(初学者が意識すべきこと3点)

著者も過去に2年間の社労士試験の勉強経験がある、現役の社労士です。

そんな私が、今までの経験から社労士試験の難易度や今後の社労士の可能性について解説します。

社労士資格の難易度を徹底解析

社労士とは

社労士とは、正式には社会保険労務士という国家資格であり、労働・社会保険や労務管理、年金などに精通するプロフェッショナルです。

採用から退職までの手続きや給与計算、労務管理や年金相談など、社労士の業務の内容は広範囲に渡ります。

社労士の主な業務

社労士の仕事は大きく分けて、1号業務、2号業務、3号業務の3つに区分されます。

その内の1と2号業務に関しては、社労士の独占業務とされており、社労士以外の者がその手続きを有償で代行することはできません。

1号業務(手続き代行)

  • 労働社会保険諸法令に基づいて申請書等を作成すること
  • 申請書等について、その提出に関する手続を代行すること
  • 労働社会保険諸法令に基づく申請、届出などの事項に関し、当該行政機関等に対してする主張もしくは陳述について、代理すること

次の業務は、紛争解決手続代理業務試験に合格した特定社会保険労務士のみが行うことができます。

  • 都道府県労働局および都道府県労働委員会における個別労働関係紛争のあっせん手続の代理
  • 都道府県労働局における男女雇用機会均等法、パート労働法及び育児・介護休業法の調停の手続の代理
  • 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続における当事者の代理

2号業務(帳簿作成)

  • 労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類を作成すること

3号業務(相談業務)

  • 事業における労務管理その他の労働に関する事項および労働社会保険諸法令に基づく社会保険に関する事項について相談に応じ、又は指導すること

3号業務に関しては、社労士以外でも業務を行うことが可能です。

参考サイト:【e-Gov】社会保険労務士法

試験内容

試験科目

試験科目 択一式 計7科目(配点) 選択式 計8科目(配点)
労働基準法及び労働安全衛生法 10問(10点) 1問(5点)
労働者災害補償保険法
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
10問(10点) 1問(5点)
雇用保険法
(労働保険の保険料の徴収等に関する法律を含む。)
10問(10点) 1問(5点)
労務管理その他の労働に関する一般常識 10問(10点) 1問(5点)
社会保険に関する一般常識 1問(5点)
健康保険法 10問(10点) 1問(5点)
厚生年金保険法 10問(10点) 1問(5点)
国民年金法 10問(10点) 1問(5点)
合  計 70問(70点) 8問(40点)

試験日


8月の第4日曜日(年1回)

試験時間


選択式試験 10:30~11:50(80分)
択一式試験 13:20~16:50(210分)

受験料


15,000円

社労士試験を受験するには、受験資格が必要です。
社労士試験の受験資格は、主に3つに分けられます。

受験資格

  • 学歴:大学や短期大学を卒業した者など
  • 実務経験:社労士法人などの業務の補助を通算して3年以上行った者など
  • 試験合格:行政書士試験に合格した者など

その他の受験資格については「社会保険労務士試験オフィシャルサイト」をご覧ください。


参考サイト:社会保険労務士試験オフィシャルサイト

合格率と合格基準

社労士試験の合格率は、直近3年間は6%台となっており、国家資格の中でも難関資格と言えるでしょう。

過去10年間の合格率の表

試験年度 全国の合格率
2020年度 6.4%
2019年度 6.6%
2018年度 6.3%
2017年度 6.8%
2016年度 4.4%
2015年度 2.6%
2014年度 9.3%
2013年度 5.4%
2012年度 7.0%
2011年度 7.2%
10年平均 6.2%

合格基準


社労士試験は、相対評価の試験で、その年の平均点によって合格基準点が変動します。
またその基準点は、合格発表の当日まで発表されないというのも特徴です。

合格基準は、「午前中の選択式」と「午後の択一式」試験それぞれの総得点と各科目ごとの得点が基準点を満たさないと合格できません。
また選択式と択一式の試験の点数は、合算するのではなく、それぞれで合格の基準点を満たすという難関試験です。

つまり以下の項目ですべて基準点を満たす必要があります。

  • 選択式の総得点
  • 選択式の各科目の最低点
  • 択一式の総得点
  • 択一式の各科目の最低点

社労士試験は、他の資格と違った特徴があり、この特徴を知っておかないと合格へ遠回りとなってしまいます。

試験の特徴

先ほどの表のとおり、過去10年間の社労士試験の合格率の平均は6.42%です。
なぜ社労士試験は、こんなにも合格率が低いのでしょうか。
それは次のような特徴があるからです。

  • 受験科目が多い
  • 合格基準を満たすのが難しい
  • 働きながら受験する人が多い

受験科目が多い

社労士試験は、10分野から選択式は8科目、択一式は7科目出題されます。
主に労働法令と社会保険法令に分けられ、各科目とも勉強範囲は広く、目安となる合格までの勉強時間は、1000時間と言われています。

特に大変なのが、各科目で共通して出てくる被保険者の定義や範囲など、法律ごとに少しずつ違いがある項目を覚えることです。

頭の中でしっかり整理ができていないと、勉強が進めば進むほど、過去問が解けなくなるというジレンマに陥ります。

その解消法には、各科目の共通する箇所をまとめて勉強する「横断学習」の時間が必要となり、まとまった学習時間が必要です。

合格基準を満たすのが難しい

社労士試験は、約7割を取れれば合格基準点に達しますが、合格率を見てわかるように、一筋縄ではいかない理由があります。
それが以下の3点です。

  • ミスできない選択式
  • 体力勝負の択一式
  • 対策が難しい一般常識

ミスできない選択式


社労士試験は、総得点だけでなく、各科目ごとにも基準点が設けられており、その基準を1科目でも下回っていると不合格となる非常にシビアな試験です。

特に選択式の試験は、各科目(8科目)5問中3問以上正解しないとならず、「1科目だけ1点足りない」という受験生が続出します。

午後の択一式で満点を取っても、この選択式の不足した1点により「また来年!」と言われてしまうのです。(巷では「足切り」と言われています)

体力勝負の択一式


一方、択一式試験の特徴は、各科目(7科目)10問ずつの問題総数70問という問題数の多さです。
しかも試験時間210分ということもあり、長時間集中力を保たなければなりません。

それに加え、出題者側は、随所に難問を散りばめて、受験生の心を折にかかってくるので、途中で戦意を喪失しないメンタルが必要です。

対策が難しい一般常識


社労士試験で一番の難関科目は、一般常識です。
一般常識は「労務管理その他の労働に関する一般常識」と「社会保険に関する一般常識」の2科目です。

法令だけでなく、「労働白書」や「統計調査」からも出題されるので、範囲が広く対策が難しいです。

勉強をしないと点数は取れないけど、勉強をたくさんしたからと言って、点数が取れるものではないというところが曲者で、毎年最も多くの受験生が苦戦する科目と言っていいでしょう。

働きながら受験する人が多い

社労士試験の受験生は、3,40代が多く、働きながら社労士を目指す人が多くいるのが特徴です。
次が合格者の年齢階層別と職業別の割合のグラフです。


参考資料:【厚生労働省】第51回社会保険労務士試験年齢別・職業別構成【pdf】

見てのとおり約8割(会社員、公務員、団体職員、自営業、役員の合計)の合格者が、普段働きながらその合間で受験勉強をする人たちなのです。

これも合格率が低い理由の一つと言えるでしょう。

以上のことから社労士試験は、生半可な気持ちで目指すものではないとわかって頂けたかと思います。

ただ毎年4万人近くが受験しています。
なぜこんなに多くの方が受験するのか、社労士のこれからのニーズについて見ていきたいと思います。

これから社労士のニーズが増え続ける理由

なぜ多くの人が、社労士を目指すのでしょうか。
理由はたくさんありますが、今回は現役社労士の私が特に感じる2つ理由に焦点を当てていきます。

  1. どこにでも転職可能
  2. 労務管理はプロに任せた方が安心

1.どこにでも転職可能

社労士の資格を持っていると間違いなく転職に有利です。
現在、日本で主流の雇用制度は、終身雇用制度によるメンバーシップ型の雇用です。
しかし最近、大手企業を中心に、メンバーシップ型の雇用から米国で主流なジョブ型雇用にシフトしています。

これによりこれからの企業の採用活動においては、専門性のある人材を求める企業が増えていくでしょう。

社労士は、労務管理や労働・社会保険諸法令などに精通しています。
それらの知識は、基本を押さえれば、どの業種にも転用が可能です。

私も現在一般企業の人事・総務部で働いています。
実際の現場では、入退社の手続きしていればいいという時代ではなく、「法改正に対応した労務管理」や「時代の流れや雇用制度にあった人事評価制度の見直し」など、人事・総務部の仕事は多岐に渡ります。

そのため専門的な知識を持った人材が求めらているのです。

他にも専門性のある資格はあるのではないかと、思われる方もいるかもしれません。
ただ特定社会保険労務士の資格を取れば、さらに紛争解決手続代理業務を行うことが可能です。

しかも平成27年4月から、特定社労士が単独で代理できる紛争の目的価額の上限が60万円から120万円までに引上げられ、仕事の幅が広がっています。

昨今、労使間の紛争が増加している状況を鑑みると、社労士の需要が伸び続けるのは明白なのです。

2.労務管理はプロに任せた方が安心

今後、人事・総務部が行っていた仕事をアウトソーシングする企業が増えていくことが予想されます。
その理由は、働き方改革による労務管理の複雑化、行政機関への書類作成の煩雑化により、専門的な法律の知識が問われるため、社内の人材だけでの対応が難しくなっているためです。

以下は社労士の認知度と利用率の調査結果です。

認知度は高いものの、利用率は6割弱と、まだまだ伸ばせる余地があると言えます。

【全国社会保険労務士会連合会】社労士のニーズに関する企業向け調査結果について(平成28年3月14日公開)【pdf】

現在、新型コロナウィルスよる経済の低迷に直面しており、失業者や休業者が増加しています。

政府は、労働者を失業させずに休業させる企業に対して、雇用調整助成金を通常より支給率を引き上げる対応を取っています。

その手続きの代理業務は、社労士の独占業務ですが、仕事が集中し、社労士が顧問先以外の業務を請け負うことができないという問題が発生しました。

そのため多くの飲食店や小売店などの中小零細企業が、雇調金の複雑な手続きに苦労し、最悪受給をあきらめるという事態となっています。

今回の一件で、社労士の存在感が高まっており、今後需要が伸びる可能性は高いと言えます。

本記事をここまで読んで頂けた方は、社労士試験のことや社労士の業務について、何となくイメージできたかと思います。

これから社労士を目指す方の中には、受験勉強が学生以来だという方や法律の勉強をしたことがない方も多くいるでしょう。

最後にそんな方々が安心して、社労士を目指せるように「法律初学者が押さえておくべきポイント」を解説します。

法律初学者でもこれを押さえれば大丈夫!(初学者が意識すべき3つのこと)


私も社労士の勉強をするまでは、法律を勉強したことはありませんでした。
その時に苦労したことと対策方法について解説します。

初学者が苦労する3つのこと

  1. 法律の文言が呪文みたいで理解できない
  2. 勉強のペースがわからない
  3. 暗記に頼りがちになる

1.法律の文言が呪文みたいで理解できない

法律の初学者にとって、条文は呪文のようなものです。
法律の文言って、「何でこんなにわかりづらく書くんだよ!」っていうぐらい回りくどくて、始めは何が言いたいのかわからないと思います。

解決策


正直慣れです。
参考書や過去問を何度も読んで、慣れるしかないんですよね。

その際、理解できないからと言って、立ち止まるのはNGです。
理解もできないし、テキストも全然進まないと心が折れます。
バンバン先に進んで、何周もする方が効率的です。

今は動画コンテンツが充実している講座がたくさんあります。
通勤時などに聞き流して、聴覚を刺激するのも効果的ですよ。

2.勉強のペースがわからない

勉強を始めた当初は、勉強のペースを掴むことは難しいです。
予備校に通えば、決められた日程の講座を受けるだけなので、心配することはありませんが、独学や通信教育で合格を目指す方は大変です。

解決策


まず本試験までのスケジュールを立てて、必ず遂行することです。
その学習スケジュールは、予備校の講座スケジュールなど参考にするといいですよ。

初学者の方は、計画通りにいかず、途中で挫折する人が多いです。
それはテキストを使って学習する際に、理解できるまで次に進めないという思考に成りがちだからです。
私も最初はそうでした。

社労士の勉強で、完璧主義は禁物です。
理解できていなくてもどんどん先に進み、何周もするようにしましょう。
まず全体像を掴むことが大切!

3.暗記に頼りがちになる

社労士試験で大事なのは、暗記ではなく法解釈です。
「条文を全部覚えてやろう!」と意気込む方もいますが、絶対やめてください。
もの凄い時間もかかりますし、法令を理解せず暗記に走ったら、大半のことを明日には忘れます。

身に付けた知識を定着させるには、法令を理解することに重点を置いた学習をすることです。

解決策


テキストを読んだあとに、その日の内に過去問を解くことをオススメします。
インプットしてからアウトプットするまでの間をなるべく空けないことが、ポイントです。

またインプットをたくさんしたから、過去問も解けるという思考は捨てましょう。
インプットに時間を掛け過ぎることは禁物です。

最後はどれだけアウトプットしたかが合否を分けるのです。

私の2年間の受験生活の経験談については、こちらの記事で書いてますので、興味がある方はぜひご覧ください!

【フォーサイト失敗談】社労士試験に不合格となった理由
「フォーサイトの合格率ってホントなの?」「社労士試験に挑戦しているが、なかなか合格基準に達しない」という方必見です。 本記事では、数ある通信講座の中で、全国平均の4倍以上の合格率を誇るフォーサイトの社労士講座について解説します。 私が実際にフォーサイトを受講して合格した勉強法や、一度不合格になってしまった失敗談なども交えながら解説していきます。

本記事のまとめ

  • 社労士試験は、過去10年の合格率が平均6%台の難関資格である
  • 社労士試験に合格するには、試験の特徴を理解することが大事
  • 受験者の8割が、働きながら合格を目指している
  • 社労士は、独立にも転職にも有利な資格である
  • 学習の際は、暗記ではなく法解釈を意識する

働きながら社労士試験に合格するには、家族や友人との時間、趣味娯楽をする時間など、犠牲にしなければならないことがたくさんあります。

ただ何の犠牲もなく、得られるものに価値などありません。

苦労したからこそ身に付けることに意味があるのです。

本記事がみなさんのキャリアアップに繋がれば幸いです。

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