人事部・総務部のための資格取得【おすすめ資格7選】
近年、日本の大手企業では、専門的な知識や能力、経験、仕事内容を明確にし、それに照らし、最も適任な人材を起用するジョブ型雇用制度の導入が広がりつつあります。
これにより賃金も仕事の難易度や専門性に応じて決定され、より専門性が高い人材が重宝される時代になっていくことでしょう。
どんな時代どの業界でも、なくてはならない部署が人事部と総務部でしょう。
中小企業は、人事部と総務部で分かれていないところも多いですが、人事総務の仕事のない会社はありません。
人事総務の仕事は、採用や人員配置のイメージが強いかもしれませんが、社員教育、研修の実施、人事考課、従業員のストレスチェック、給与計算、労務管理など多岐に渡ります。
これらの仕事には、専門的な知識が必要となることが多いです。
人事総務部への転職を考えている方、人事総務でのキャリアアップを図りたい方は、資格取得が有利になる場合もあります。
ただ闇雲に関連の資格を取得するのではなく、その会社が今どこに課題があるのかを見極めて資格を取得することが一番効果的でしょう。
そのためには、人事総務部がどんな仕事をしているのか、人事総務部の仕事ごとに適正な資格は何かを知る必要があります。
本記事では、人事総務の仕事ごとに、おすすめの資格7つに加え、大手企業の人事総務部への転職も狙える難関資格も3つ紹介したいと思います。
まず人事総務部の仕事について見ていきましょう。
人事部・総務部の仕事
人事部の仕事
人事部の仕事は、基本的に人の動きに関する手続きや管理が仕事になります。
主な仕事内容は次の通りです。
- 採用・募集
- 社内教育・研修
- 入退社手続き・社会保険手続き
- 労務管理・給与計算
- 労災や私傷病による休業等の手続き
- 人事評価など
総務部仕事
病院などでいう総合窓口みたいな感じです。
代表の連絡先になっていることが多いので、会社の問合せやクレームなどはこちらに来る可能性が高いです。
以下のものが主な仕事になります。
- 社員からの問い合わせ対応
- 社外からの問い合わせ対応(代表の連絡先)
- 来客対応
- 社内行事の企画
- 福利厚生の運用
- 自社の備品、土地の管理
以上が人事総務の主な仕事内容になります。
会社は、仕事をバンバン取ってくる優秀な営業マンだけいても、成り立ちません。
人事総務部のようなバックオフィスの仕事がずさんだと、社員が安心して働くことができず、社員の満足度や労働生産性が低下することになるからです。
社員満足度が低い→労働生産性が下がる→残業が増える→離職率が上がるという負のスパイラルに陥ってしまいます。
そのため社員の教育や労務管理などに携わる人事部の役割は、会社にとって一番重要なポジションと言えます。
人事部を強化する
人事部の体制を強化するには、次の3点が挙げられます。
- 人事部を独立させる
- 資格保有者や専門的な知識を持った人間を責任者とする
- 社会保険労務士にアウトソーシングする
人事部を独立させる
総務部と人事部が一緒になっている企業が多いですが、分けた方が仕事の区分もはっきりします。
そうすることで、社員個人の悩みや各営業所の問題点がはっきりして、隅々までケアすることが可能となります。
資格保有者や専門的な知識を持った人間を責任者とする
労務管理や給与計算などの仕事をしていると、経験からミスを事前に防ぐことができたりします。
法律の知識も非常に重要なので、資格保有者や経験豊富なベテランの方がいると、方向性を間違えずに仕事が進められるはずです。
社会保険労務士にアウトソーシングする
中小零細企業では、人事部や総務部すらないところもあるでしょう。
そういうのはなるべく避けたいところです。
従業員の給与計算や労働時間の上限など専門的な知識が必要であり、複雑な法律も絡んできます。
他にも未払い残業代や労災など、労務トラブルで訴訟に発展するケースも多々あります。
そういう場合は、労務管理や社会保険手続きのプロである社会保険労務士にアウトソーシングすれば、人事的なことはほとんどやってくれるでしょう。
それなりの知識や経験のある人間を雇うより、固定費を抑えることができます。
自分が社労士になるという選択肢もあります。
メリットは次の通り。
- ジョブ型雇用に適した専門性が得られる
- 人事部の管理職候補になれる
- 働き方改革の重要性がわかる
- 独立という選択肢もある
- 大手企業の人事部の転職に有利
「【フォーサイト失敗談】社労士試験に不合格となった理由」では、私が社労士試験に如何にして合格したかの体験談などを詳しく書いています。
社労士の仕事や試験に、ご興味がある方はぜひ見てみて下さい。
また社労士以外にも人事部に活かせる仕事はたくさんあります。
人事部には、以下の3本の矢となる仕事がありますが、こちらの柱に精通する資格を取得することをおすすめします。
- 人材採用・教育・研修、人事考課
- 労務管理 給与計算・入退社手続き
- 経営戦略
この3本の矢がしっかりしている企業は、売り上げも伸びている優良企業であることが多いです。
そのためには、3本の矢の知識を付けて、1本1本を太くしていく必要があります。
では3本の矢のどれに役立つのかも含めて、おすすめの資格を紹介していきます。
おすすめ資格7選一覧表
Ⅰ.人事総務検定2.3級
試験の目的 |
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こういう人におすすめ(矢) |
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試験内容(教科) |
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受験資格 |
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合格率 |
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難易度 | ★☆☆☆☆☆ |
参考勉強時間 |
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試験頻度 |
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試験の費用 |
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公式ホームページ | https://www.lec-jp.com/jinjisoumu/ |
Ⅱ.ビジネス・キャリア検定2.3級
試験の目的 |
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こういう人におすすめ(矢) |
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試験内容(教科) |
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受験資格 |
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合格率 |
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難易度 | ★☆☆☆☆☆ ~ ★★☆☆☆☆ |
参考勉強時間 |
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試験頻度 |
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試験の費用 |
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公式ホームページ | https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/giken.html |
Ⅲ.給与計算実務能力検定
試験の目的 |
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こういう人におすすめ(矢) |
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試験内容(教科) |
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受験資格 |
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合格率 |
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難易度 | ★☆☆☆☆☆ ~ ★★☆☆☆☆ |
参考勉強時間 |
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試験頻度 |
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試験の費用 |
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公式ホームページ | https://jitsumu-up.jp/about/ |
Ⅳ. メンタルヘルス・マネジメントⅠ、Ⅱ種
試験の目的 |
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こういう人におすすめ(矢) |
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試験内容(教科) | (1)企業経営におけるメンタルヘルス対策の意義と重要性(2)メンタルヘルスケアの活動領域と人事労務部門の役割(3)ストレスおよびメンタルヘルスに関する基礎知識など Ⅰ種は選択と論述問題 Ⅱ種は選択問題 |
受験資格 |
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合格率 |
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難易度 | ★☆☆☆☆☆ ~ ★★☆☆☆☆ |
参考勉強時間 |
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試験頻度 |
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試験の費用 |
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公式ホームページ | https://www.mental-health.ne.jp/guide/ |
Ⅴ. 人事評価者検定
試験の目的 |
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こういう人におすすめ(矢) |
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試験内容(教科) |
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受験資格 |
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合格率 |
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難易度 | ★☆☆☆☆☆ ~ ★★☆☆☆☆ |
参考勉強時間 |
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試験頻度 |
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試験の費用 |
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公式ホームページ | http://hrm-consultant.or.jp/jhk/ |
Ⅵ.第一種衛生管理者免許
試験の目的 |
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こういう人におすすめ(矢) |
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試験内容(教科) |
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受験資格 | (1)大学、短大、高専卒の場合は実務経験1年以上
(2)高校卒の場合は実務経験3年以上 (3)その他 学歴に関係なく実務経験10年以上 |
合格率 |
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難易度 | ★★★☆☆☆ |
参考勉強時間 |
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試験頻度 |
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試験の費用 |
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公式ホームページ | https://www.exam.or.jp/exmn/H_shikaku502.htm |
Ⅶ.キャリアコンサルタント
試験の目的 |
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こういう人におすすめ(矢) |
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試験内容(教科) |
キャリアコンサルティングの社会的意義 キャリアコンサルティングの役割の理解 メンタルヘルスの知識 自己啓発の支援など
相談過程において必要な技能 |
受験資格 |
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合格率 |
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難易度 | ★★★☆☆☆ |
参考勉強時間 |
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試験頻度 |
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試験の費用 |
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公式ホームページ | https://www.jcda-careerex.org/information/requirements.html |
これらの資格を持っていると、転職に有利なる場合がありますが、必ずしも転職できるわけではありません。
特に未経験の方は、人事への転職するコツを知っておくといいでしょう。
【関連記事】未経験でも人事に転職できる?未経験から人事に転職する6つのコツ
コツを掴んで、次の士業の資格を持っていると、大手の人事総務部への転職も十分可能となります。
もっと難易度の高い資格(将来独立・開業を考えている)
人事総務の管理者クラスになれば経営者目線を持つことも大切です。
また人事部の3本の矢の視点も加えると士業の資格を取ることをおすすめしますが、先ほどの資格と比べると難易度は格段に上がることになります。
おすすめ資格 士業編
Ⅰ.行政書士
試験の目的 |
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こういう人におすすめ(矢) |
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試験内容(教科) |
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受験資格 |
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合格率 |
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難易度 | ★★★★☆☆ |
参考勉強時間 |
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試験頻度 |
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試験の費用 |
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公式ホームページ | https://gyosei-shiken.or.jp/doc/guide/guide.html |
行政書士は、ビザの申請書類を作成することができます。
また申請取次者である場合は、入館管理局に本人に代わって提出も可能です。
外国人労働者が増加することが見込まれるため、今後さらに需要が高まってくる資格になります。
Ⅱ.社会保険労務士
試験の目的 |
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こういう人におすすめ(矢) |
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試験内容(教科) |
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受験資格 |
※詳しくはオフィシャルサイトを参照 |
合格率 |
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難易度 | ★★★★★☆ |
参考勉強時間 |
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試験頻度 |
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試験の費用 |
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公式ホームページ | https://www.sharosi-siken.or.jp/exam/howto.html |
社労士は、人事部資格の最高峰と位置付けられています。
今後、働き方改革やテレワーク、ジョブ型雇用による人事評価制度の見直しなどで、需要がより一層高まっていくことは間違いありません。
【関連記事】【社労士の資格を目指す初学者へ】受験勉強前に読むべき社労士の取説
Ⅲ.中小企業診断士
試験の目的 |
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こういう人におすすめ(矢) |
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試験内容(教科) |
※中小企業診断士になるには、その後15日以上の実務補習を受ける必要があります。 |
受験資格 |
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合格率 |
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難易度 | ★★★★★★ |
参考勉強時間 |
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試験頻度 |
1日目9:50~17:10 2日目9:50~15:00
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試験の費用 |
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公式ホームページ | https://www.j-smeca.jp/contents/010_c_/010_r01_shiken.html |
中小企業やベンチャー企業の経営者は、実務に関しては長けていますが、経営についての知識が乏しいところがあったりします。
そういった経営者の相談役として中小企業診断士は活躍しています。
また行政のパイプ役や補助金などの申請手続きなども行うなど幅広い分野で活躍することができます。
【関連記事】人事・総務・経理の役立つ資格を徹底分析【難易度別おすすめ資格一覧表を大公開】
本記事のまとめ
次の方はおすすめ資格7選の資格を取得するといいでしょう。
- ジョブ型雇用の普及に向けて専門性を高めたい
- 知識を付けて、効率的に仕事をしたい
- 人事部で出世がしたい
- 未経験で人事総務へ転職がしたい
次の方は士業の資格を取得することをおすすめします。
- 人事総務部で管理職になりたい
- 独立開業をしたい
- 経営者目線を養いたい
- 責任のあるポジションに就きたい
- 早く出世がしたい
働きながら資格を取得するというのは、そう簡単なことではありません。
ただ、勉強したことが仕事をしながらアウトプットできる環境が整っているのなら、資格取得に挑戦してみてください。
あなたのキャリアアップや仕事のモチベーション向上にもなります。
まず簡単な資格から挑戦し、成功体験を積み上げてください。
それが将来の大きな成果に繋がるはずです。