雇用調整助成金の申請方法【個人事業主・小規模事業主向けに解説します】

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雇用調整助成金の申請方法【個人事業主・小規模事業主向けに解説します】

「雇用調整助成金って、アルバイトも対象なの?」「申請書類の記入の方法がわからない」「申請方法が複雑そう」と悩んでいる個人事業主の方々。

雇用調整助成金の申請方法がもの凄く簡素化されました。
必要書類も従来と比べて少なくなり、数時間あれば作成可能です。

本記事では、個人事業主の方や小規模事業主(従業員が概ね20人以下)の方向けに、雇用調整助成金の申請方法について解説したいと思います。

1 雇用調整助成金について

1-1 雇用調整助成金とは

雇用調整助成金とは、経済上の理由で、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、従業員を解雇するのではなく、一時的に休業させて雇用の維持を図った場合、事業主が従業員に支払った休業手当の一部を補助しましょうというものです。

〇ポイント
  • 解雇するのではなく、一時的に休業させ、休業させた日は、従業員に休業手当を支払うこと
  • このときの休業手当は、平均賃金の60%以上の額を支払う義務がある
  • 雇用調整助成金は、従業員に入るのではなく、休業手当を支払った事業主が受給する

 

1-2 対象事業主

まず全業種の事業主が対象となります。
そして次の要件を満たす必要があります。

①新型コロナウィルスの影響により、従業員を休業させている

②従業員としっかりと打ち合わせをした上での休業である

③新型コロナウィルスの影響により、生産指標が低下した

④休業日数が一定以上である

①新型コロナウィルスの影響により、従業員を休業させている

休業させる従業員は、雇用保険被保険者でなくても構いません。
学生アルバイトは、原則雇用保険に加入できませんが、休業させた場合は、対象となります。
ただし、雇用保険の対象者を加入させてないなどの不正があると受給できません。
またその休業が、新型コロナウィルスによる影響で、休業したものでなければなりません。

②従業員としっかりと打ち合わせをした上での休業である

本来は、労使協定による休業でなければならないので、「休業協定書」が必要となります。

今回は、政府からの緊急事態宣言などにより、急ぎで休業を決めたところも多いので、個人事業主や小規模事業主が支給申請をする場合、「休業協定書」の提出は必要ありません。

ただそういう状況下でも、休業前に従業員への事前の説明などは必ず行う必要があります。

特に休業手当の支給率に関して、最低60%以上支払う必要がありますので、事前に説明した上で、休業させるようにしてください。

③新型コロナウィルスの影響により、生産指標が低下した

ここでいう生産指標は売上や生産高のことで、休業させた前年の同月と比べて5%以上下がっていないと要件は満たしません。
開業したばかりで、前年がなければ前月と比べることも可能なので、一度ハローワークなどに相談するといいでしょう。

ただ売上げが下がったからといって、要件を満たすものではありません。

これも休業要請など、新型コロナウィルスが原因である必要があります。

④休業日数が一定以上である

休業延日数が、対象労働者の所定労働延日数の1/40以上でないといけません。

(例)正社員2人 所定労働日数20日
アルバイト4人 所定労働日数10日(2×20+4×10)×1/40=2日
対象労働者全員の休業日数の合計が、2日以上必要

申請書だと、以下の計算式で要件を見ているので、次の簡単な計算で要件を満たしているか確認してもOKです。

休業延日数 ÷ 事業所の従業員数 × 1/2 = 1以上なら要件クリア

 

1-3 対象労働者は?アルバイトも対象?

原則は、要件を満たした事業主に雇用されている、雇用保険被保険者が対象となります。
しかし、今回は特例措置として、雇用保険被保険者ではない者を休業させた場合でも対象となります。

本来、学生は学業に専念するものという考えから、週20時間以上アルバイトしていても雇用保険に加入することはできません。
ただ学生の中にはアルバイト収入で生計を立てていたり、学費を払っている学生がいることを鑑み、学生アルバイトの者を休業させた場合も対象とすることとしました。

2 支給金額

2-1 助成額と助成率

個人事業主や小規模事業主が、従業員を解雇しなかった場合の休業手当の額は、次の計算式で求められます。

助成金の額 = 実際に支払った休業手当額 × 下記の助成率 (9/10 or 10/10)
助成率 要件
特例 9/10 中小企業で、従業員を解雇しなかった場合
特例の特例 10/10 (1)解雇を行わず、休業手当を賃金の60%を超えて支払った場合は、超えた部分からは、10/10となる

(例題)
賃金日額10,000円の者が20日休業し、80%の休業手当を支払った場合
休業手当単価 = 10,000 × 80% = 8,000
休業手当 =    8,000 × 20 = 160,000

助成額 =① 8,000 × 60% × 9/10 × 20 = 86,400
=② 8,000 × 20% ×  10/10 × 20 = 32,000
=① + ② = 118,400

(2)新型インフルエンザ等対策特別措置法等に基づき都道府県対策本部長が行う要請により、休業又は営業時間の短縮を求められた対象施設の事業主で、これに協力して休業等を行っていること

かつ

休業手当が、次の(A)または(B)のどちらかに該当すること
(A)100 %の休業手当を支払っていること
(B)上限額 8,330円以上の休業手当を支払っていること(支払率 60%以上である場合に限る)

⇒つまり休業要請に応じて休業した場合で、従業員に賃金の100%の休業手当を払っていれば、全額国が補助します。

また支給率が100%でなくても、60%以上で、その日額が8,330円以上なら、8,330円まで全額国が補助しましょうということです。



3 申請方法を解説

3-1 必要書類一式

個人事業主または概ね20人以下の小規模事業主が、申請する際の書類が大幅に簡素化されました。
雇用保険被保険者を休業させた場合と、そうでない者を休業させた場合で、書類が変わるので、それぞれ見ていきましょう。

 

《雇用保険被保険者を休業させた場合》

証明内容 具体的なもの
用意するもの 比較した月の売上などがわかる書類 休業した月と前年同月の売上簿orレジの月次集計or収入簿など

開業したばかりの場合は、前月のものでも、比較できればOK

休業させた日や時間がわかる書類 休業した月のタイムカードor出勤簿orシフト表など
休業手当や賃金の額がわかる書類 給与明細の写しや控えor賃金台帳など
口座番号や名義が確認できる書類 通帳またはキャッシュカード のコピー
役員の名前、性別、生年月日がわかるもの

※役員がいる場合のみ

役員名簿
作成するもの 支給申請書類(3種類)

※別紙入れると4枚

様式特小第1号(別紙も含む)、2号、3号

⇒詳しい書き方は、3-2で解説します。

 

《雇用保険被保険者ではない者を休業させた場合》

 

証明内容 具体的なもの
用意するもの 雇用保険被保険者を休業させた場合と同じ
作成するもの 支給申請書類(3種類)

※別紙入れると4枚

様式小第1号(別紙も含む)、2号、3号

※雇用保険被保険者の場合と書式が違うので、注意!

⇒詳しい書き方は、3-2で解説します。

 

〇上記を同時申請する場合に省略できる書類

  • 用意するものの書類は1部でOK
  • 様式小第1号は、様式特小第1号と被っているので不要

 

3-2 書類作成方法解説

記入例作成したので、そちら見て頂ければ滞りなく、作成できるようになっています。
迷いそうなところには、コメントを入れてありますので、そちらも参考にしてください。
また厚生労働省からの作成マニュアルも参照ください。

《雇用保険被保険者を休業させた場合》

様式特小記入例【Excel】
厚生労働省:雇用調整助成金支給申請マニュアル【PDF】

《雇用保険被保険者ではない者を休業させた場合》

様式小記入例【Excel】
厚生労働省:緊急雇用安定助成金支給申請マニュアル【PDF】

一応間違いやすそうなところをさらっと解説しておきます。

記入の際の注意箇所

<雇用保険被保険者を休業させた場合>

〇第2号(実績一覧表)

  • 基本的に赤枠の箇所のみ記入
  • 従業員数 = 一般社員が週40時間働いている場合は、正社員でなくても、おおむね週40時間ぐらい働いている者も入る!
  • この期間の休業手当支払い率 = 60%未満の数字の入力はNG!
  • 一番下の箇所に、労働者代表が署名する箇所があるので、忘れないように!

〇別紙

  • ここは「はい」「いいえ」に素直に☑いれていけばOK!
  • 最後のA~Eにも☑入れ忘れないように!

〇第1号

  • 基本は迷わず、会社情報入れるだけ!
  • 4.5はプルダウンで「はい」にしないと助成金の要件を満たさない!
  • 雇用保険被保険者と、そうではない者の申請を同時に行う場合は、様式小第1号の1~3は入力する必要なし!

〇第3号

  • 内容をきちんと読んで、プルダウンで「はい」にするだけ!
  • あとは日付と法人番号を記入!
  • 事業主の性別と生年月日を入力! ※役員一覧を添付する場合は、入力不要!
  • 雇用保険被保険者と、そうではない者の申請を同時に行う場合は、不要!

3-3 休業から申請の流れ

ステップ1:休業に関して従業員と打ち合わせ

  • 休業対象日や休業手当支給率を決定する
  • 休業手当支給率は、賃金の60%以上で設定する必要がある
  • 休業対象日は不平等にならないように、なるべく輪番で実施する
    ⇒書面で同意を得るようにしましょう!

ステップ2:休業の実施

  • 従業員と打ち合わせした通り、実際に休業を実施する

ステップ3:休業手当を支払う

  • 事前に従業員に説明したとおりの支給率で、休業手当を支払う
  • 給与明細には、「休業控除」「休業手当」の項目を作る必要がある

ステップ4:申請書類の作成および整理

  • 3-2にとおり、支給申請書類を作成(社印の押印も忘れずに)
  • 3-1の添付書類を揃える
  • 漏れがないか確認

ステップ5:申請

  • 支給対象期間の末日の翌日 から2か月以内に、申請する必要がある
    ただし、支給対象期間の初日が1/24~5/31にある場合は、特例により8/31までOK
  • 休業手当の額が確定した書類がそろえば、 賃金支払日の前でも申請可能

 

 〇申請方法3つ

  • 窓口:事業所の住所を管轄する労働局または ハローワークの窓口に直接持っていく
  • 郵送:配達記録や簡易書留 など、必ず配達の記録が残る方法で行う
  • オンライン:現在システムトラブルにより中止

以上で申請完了です。
入金されるのを待ちましょう。

 

まとめ

雇用調整助成金の書類は、社会保険労務士が作成を代行することが多いですが、現在顧問先からの問い合わせが殺到しており、パンク状態となっております。

それにより、本当に救済されるべき個人事業主や小規模事業主の方々が助成金を受けれていないというのが現状です。

本記事が、少しでもそのような方々の役に立てば幸いです。

雇用調整助成金は、要件を満たせば必ず受け取ることができます。
あきれめずに、まず一歩を踏み出してください。

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