失業保険はすぐもらえるのか?【手続きの流れも解説します】

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失業保険はすぐもらえるのか?【手続きの流れも解説します】

「退職したら失業保険ってすぐもらえるの?」「退職したけど、失業保険の手続きの仕方がわからない」「退職をする前に、失業保険がいくらもらえるのか知りたい」そんな方は必見です。
本記事では、失業保険のもらい方だけでなく、必要書類や失業保険以外の給付についても紹介したいと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

私は一般企業の総務部で、労働・社会保険諸法令に関する実務に携わって、2年半が経ちました。働きながら2年間勉強し、社会保険労務士試験にも合格しました。

そんな経験が少しでもみなさんの役に立てばと思い、今回は失業保険について解説していきたいと思います。

1 失業保険とは

1-1 失業保険とはそもそも何?

一般的に失業保険や失業手当と言われますが、正式には雇用保険の失業等給付制度に含まれる基本手当を指します。
失業等給付制度は、みなさんの毎月の給与から引かれている雇用保険料(労使で折半)で賄われており、その制度の一部に基本手当があるわけです。

失業等給付という名称なので、失業した人しか給付されないんでしょ?と思われがちですが、そんなことありません。働く人の能力開発のため、資格などを取得する費用の一部が補助される制度や、育児介護者などが仕事を継続できるようにサポートする制度などもあります。

失業者以外にも給付される制度があるということを覚えておくと、育児や介護をしながら仕事を続けることや在職中に資格を取得するなど、選択肢が広がるかもしれません。
失業等給付の種類については、2章で軽く触れたい思いますが、本記事では 失業保険(本記事では基本手当を指す)をメインに解説したいと思います。

1-2 失業保険とは

失業保険って、失業したら全員がもらえるんじゃないの?と思われてる方がいるかもしれませんが、決してそんなことありません。
基本手当(失業保険)の概念は以下の通りです。

基本手当とは…

雇用保険の被保険者の方が、定年、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるものです。

                        ハローワークインターネットサービスより引用

 要するに雇用保険に加入していた人が離職をし、その後求職活動を行っているけど、就職先が見つからない人などが安心して生活ができるように、その生活費として、手当を支給しましょうというものです。

「失業保険をもらえると思って、前の会社を思い切って退職したのに、これからどうしよう・・・」なんてことにならないように、次で基本手当の支給要件のポイントを押さえておきましょう。

1-3 失業保険の要件

失業保険を受給するために、まず以下の3つを確認することが大切です。

  1. 離職前に雇用保険に加入していたか
  2. 離職前の被保険者期間は何カ月あるか
  3. 失業状態にあり、いますぐ働ける状態であるか
【ポイント1】

大前提で前の会社で「雇用保険に加入している」ということです。
社会保険に加入していた正社員などは、間違いなく加入されてますので、問題ありません。
問題は、アルバイト・パート、派遣社員や契約社員の方々です。

雇用保険の加入条件が
①1週間の所定労働時間が20時間以上
②同一の事業主に継続して31日以上雇用される者
となります。

以上の条件を満たせば、会社側は雇用保険に加入させなければなりません。ただ、基本的に派遣社員に関しては、派遣元の会社に加入義務がありますので、派遣元への確認が必要になります。

一番わかりやすいのは、給与明細で雇用保険料が控除されているか確認してみてください。雇用所保険の項目に金額が入ってれば、間違いなく加入していると言っていいでしょう。

【ポイント2】

離職する前の雇用保険に加入していた期間(被保険者期間)を確認しましょう。
さらに退職事由によって、期間の要件が変わってきますので、退職事由別に見ていきましょう。

☑自己都合による退職(原則)
雇用保険の加入期間が、離職の日以前2年間に12カ月以上あること。

☑会社都合による退職
雇用保険の加入期間が、離職の日以前1年間に6カ月以上あること。

「自己都合による退職」は、一身上の都合で、退職届を提出して辞めるときなどです。
「会社都合による退職」は、解雇や倒産などで失業したときです。(こういった失業者を、特定受給資格者といい、詳しくは第3章で解説)
入社して1年未満の人が、会社の経営不振で、急に職を失ったのに、「あなたは、被保険者期間が12カ月以上ないから失業保険はもらえません」ってことになったら、あんまりですよね。
なので、要件を緩和しているということです。

◇被保険者期間のカウントの注意事項
失業保険を受給しながら、転職活動をしようと思ったら、ハローワークに被保険者期間が足りないと言われて不支給、なんてことよく聞きます。
そんなことにならないように、以下2点に注意をして、正確なカウント方法を覚えておきましょう。

《1カ月に賃金支払基礎日数が11日以上ないとノーカウント》
被保険者期間のカウントは、退職日の翌日から1カ月ずつさかのぼっていきます。
その1カ月で区切った日の内11日以上、有給や出勤など賃金の支払い対象となっている日(賃金支払基礎日数)がないと、1カ月とカウントされません。ただ在籍していただけではダメなのです。

またさかのぼっていくと、最後は1カ月に満たない中途半端な月が出てくることもあります。
そのときは、その期間が15日以上あり、賃金支払基礎日数が11日以上ある場合は、0.5カ月とカウントします。これを1カ月だと思って、カウントしてしまうと、足りないってことになり兼ねませんので、ご注意ください。(図1参照)

《被保険者期間は通算可能》
被保険者期間のカウントは、ひとつの会社だけでなく、それ以前の会社の期間も通算してカウントすることが可能です。(図1参照)
ただ後の会社を、離職した日から2年以内に収まっていなければいけません。

【ポイント3】

失業の状態(就職の内定をもらっていない等)にあり、かつ働く意思と能力を有していなければなりません。
積極的に就職する意思があり、求職活動も行っているが、現在職業についていない状態が、失業の状態といいます。なので、次の就職先が決まっている方は、失業の状態とは認められません。

また働く能力を有しているとは、資格やスキルのことではありません。健康状態や環境のことを指します。
つまり妊娠、出産、育児や病気、ケガですぐに就職できない方は、働く能力を有しているとは言い難いので、失業保険の受給対象とはならないことも覚えておきましょう。

2 基本手当以外の給付

雇用保険は、基本手当以外にもさまざまな給付がありますので、紹介したいと思います。

2-1 求職者給付(基本手当以外)

◇技能習得手当
公共職業安定所長又は地方運輸局長の指示により公共職業訓練等を受講すると受給でき、受講手当と通所手当の2種類あります。
公共職業訓練等を受講する日に、基本手当に加えて支給されます。

◇寄宿手当
公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために、家族と別居して寄宿する場合に支給されます。

◇傷病手当
ハローワークに求職の申込みをした後、15日以上引き続いて疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に支給されます。
15日未満の場合は、原則通り基本手当の支給対象となります。また支給額は、基本手当と同額です。

◇高年齢求職者給付金
高年齢被保険者(65歳以上の被保険者であって、短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者でない者)が失業した場合、基本手当日額の30日分又は50日分に相当する額を一括で支給されます。

◇特例一時金
短期雇用特例被保険者は一定の期間ごとに就職と離職を繰り返すため、一般の被保険者への求職者給付より一時金制度とすることの方が、その生活実態により即しているため、一時金が支給されます。

◇日雇労働求職者給付金
日雇労働被保険者について、一般被保険者とは異なる制度を設け、失業時に、その雇用形態に即した求職者給付が支給されます。
なお、直前2か月の各月に同一事業主に18日以上雇用された場合または同一事業主に継続して31日以上雇用された場合は、原則として、一般保険者として取り扱われますので、支給対象とはなりません。

2-2 就職促進給付

就職促進給付は、大きく「就業促進手当」「移転費」「求職活動支援費」の3つに分けられます。

◇就業促進手当
就業促進手当は、さらに「再就職手当」「就業促進定着手当」「就業手当」「常用就職支度手当」に分けられます。それぞれ見ていきましょう。

・再就職手当
基本手当の受給資格がある方が安定した職業に就いたことで、基本手当の給付日数が残ったとき、早期就職のお祝い金のような意味合いで、支給されます。

・就業促進定着手当
再就職手当の支給を受けた人が、引き続きその再就職先に6か月以上雇用され、かつ再就職先の賃金が、離職前の賃金より低下した場合に支給されます。

・就業手当
基本手当の受給資格がある方が、再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外の形態で就業した際、基本手当の支給残日数の一定の要件に該当する場合に支給されます。

・常用就職支度手当
障害者や65歳以上の高年齢被保険者などの就職困難者が、安定した職業に就いた際、基本手当の支給残日数の一定の要件に該当する場合に支給されます。

◇移転費
ハローワーク等が紹介した職業に就くため、又はハローワークの所長の指示した公共職業訓練等を受講するため、その住所又は居所を変更する必要がある場合に、その移転に要する費用が支給されます。

◇求職活動支援費
求職活動支援費は、さらに「広域求職活動費」「短期訓練受講費」「求職活動関係役務利用費」に分けられます。

・広域求職活動費
ハローワークの紹介により、遠隔地にある求人事業所を訪問して、求人者と面接等をした場合支払われるもので、交通費及び宿泊料が支給されます。

・短期訓練受講費
ハローワークの職業指導により再就職のために必要な職業に関する教育訓練を受け、当該訓練を修了した場合に、本人が訓練受講のために支払った教育訓練経費の2割(上限10万円)が支給される制度です。

・求職活動関係役務利用費
企業との面接や説明会などの求職活動や教育訓練を受講するため、保育サービスに子供を預けたときに支給される制度です。

2-3 教育訓練給付

労働者の能力開発の取組み又は中長期的なキャリア形成を支援するため、教育訓練の受講にかかった費用の一部を支給するなど、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とする給付制度です。

◇一般教育訓練給付金
雇用保険の支給要件期間が3年以上ある被保険者や被保険者資格を喪失した日以降、受講開始日までが1年以内の離職者等の一定要件を満たす者が、厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し、修了した場合に支給されます。

◇専門実践教育訓練給付金
雇用保険の支給要件期間が3年以上ある被保険者や被保険者資格を喪失した日以降、受講開始日までが1年以内の離職者等の一定要件を満たす者が、厚生労働大臣の指定する1~3年の教育訓練を受講し、修了した場合に支給されます。

◇特定一般教育訓練給付金
一般教育訓練給付金は教育訓練経費の20%に対して、特定一般教育訓練給付金は40%支給されます。特定一般教育訓練は、「速やかな再就職および早期のキャリア形成に資する教育訓練」で一般教育訓練より指定講座が絞られており、手続きも煩雑になっています。
一般教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金の違いに関しては、「教育訓練給付制度を活用したい!【失業してないあなたも受給できます】」をご覧ください。

◇教育訓練支援給付金
受講開始時に45歳未満の者が、初めて専門実践教育訓練を受講し、訓練期間中の基本手当の支給が受けられない期間について支給されます。

2-4 雇用継続給付

職業生活の円滑な継続を援助、促進することを目的とし、「高年齢雇用継続給付」「育児休業給付」「介護休業給付」があります。

◇高年齢雇用継続給付
・高年齢雇用継続基本給付金
雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、60歳時点の賃金と比べて75%未満に低下した場合に支給されます。

・高年齢再就職給付金
雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の一般被保険者が、60歳以後に再就職した場合に支給されます。

◇育児休業給付
原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取得した場合に、受給資格の確認を受けて支給されます。

◇介護休業給付
家族を介護するための休業をした被保険者が受給資格の確認を受けることで、同一家族の給付日数が通算93日間を限度に、3回までを上限に支給されます。

2-5 職業訓練受講給付

雇用保険を受給できない者が、ハローワークの支援指示により職業訓練を受講する場合、その訓練期間中の生活を支援するための給付が支給されます。

3 自己都合と会社都合について

3-1 自己都合と会社都合

ここで失業保険をもらうにあたり、非常に重要な要素となっている退職事由について、詳しく解説していきたいと思います。

《自己都合》

自己都合の退職とは、どういったものがあるのでしょうか。
雇用保険法第33条1項(給付制限)の条文では、
「被保険者が①自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され、又は②正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合には、第二十一条の規定による期間の満了後一箇月以上三箇月以内の間で公共職業安定所長の定める期間は、基本手当を支給しない。ただし、③公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わつた日後の期間については、この限りでない。
とされています。

①自己の責めに帰すべき重大な理由によつて解雇され
これは労働者が故意または過失により会社に損害を与え、懲戒解雇されたときなどです。

②正当な理由がなく自己の都合によつて退職した場合
これは一番よくあるケースで、一身上の都合っていうやつです。
転職のため、労働者自らの意思で、退職する場合などです。

①または②に該当すれば「自己都合の退職」とみなされ、上記の雇用保険法第33条1項の条文のとおり、1~3か月以内の間で、公共職業安定所長の定める期間は、失業保険が支給されません。
これを給付制限といい、この期間は原則3カ月間になります。

自己都合で退職しようと考えている方で、退職後も求職活動が続けようという場合は、失業保険が支給されるまで、収入がなくても、生活できるか、計画を立ててから退職をすることをお勧めします。
ただし、次の場合は、この給付制限が免除されます。

③公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける期間及び当該公共職業訓練等を受け終わつた日後の期間については、この限りでない。
条文のとおり「公共職業訓練を受ける期間」については、給付制限が適用されないことも覚えておきましょう。

しかし、初めから公共職業訓練を受けれることを期待して退職すると、入校のタイミングに間に合わなかったり、人気のある訓練は、競争率が高く入校許可が下りないということも考えられます。
訓練が開始されない限り、その間は給付制限が課されることになりますので、いずれにしろ、退職までの計画と訓練に関する情報収集は、しっかりしておくべきでしょう。

3-2 特定受給資格者と特定理由離職者は何が違う?

第1章で少し触れましたが、倒産・解雇などの会社都合で再就職の準備をする時間的余裕なく、離職を余儀なくされた者を「特定受給資格者」といいます。
特定受給資格者は、失業保険の被保険者期間の要件が緩和されたり、所定給付日数が手厚くなるなどの処置が取られています。
特定理由離職者という範囲もあり、名称は似ていますが、似て非なるものです。
特定理由離職者は、基本的に自己都合退職ですが「やむをえない理由で退職した人」のことをいいます。
その違いをそれぞれの細かい要件を見ながら、解説していきたいと思います。

《特定受給資格者》

特定受給資格者と判定される理由は、倒産や解雇以外にも次のようなものがあります。

  1. 明示された労働契約の条件が、事実と著しく相違した場合
  2. 常識を超えた長時間の残業を強いられた場合
  3. 給与が遅配したり、大幅にカットされたりした場合

1の「著しく相違した」という文言がポイントでしょう。月給が契約書の条件より、少し低いぐらいでは、認められない可能性があります。

2の過度の残業は過労死になり兼ねない、生命に関わる重大な問題です。
長時間労働により「特定受給資格者」となる範囲は、次の項目に該当するかがで判断されます。

①離職の直前の6カ月間のうち次のいずれかを超える時間外労働が行われた。

  • 3月連続して45時間
  • 1月で100時間
  • 2~6月平均で月80時間

②事業主が危険もしくは健康障害の生ずるおそれがある旨を行政機関から指摘されたにもかかわらず、それを防止する措置を講じなかった

上記の要件に相当しない長時間労働は、「特定受給資格者」となる範囲に該当しない恐れがあります。

3の給与の減額は、労働者にとって死活問題です。しかし、そのすべてを会社都合と認められるわけではありません。
次の点が基準となります。

  • 賃金の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかった月が引き続き2カ月以上となったこと、又は離職の直前6カ月の間に3カ月以上あった場合
  • 残業手当を除いた賃金が、それまでの85%未満になった場合(当該労働者が低下の事実について予見し得なかった場合に限る

遅配が続いたり、15%を超える給与カットがあった場合であり、給与が下がった場合は、低下の事実について予見し得なかった場合に限るとされています。
なので会社の業績などには、常にアンテナを張っておくべきでしょう。
どうしても不安な方は、退職前にハローワークに相談するようにしましょう。

以上の項目に該当すれば、特定受給資格者に該当しますので、会社都合のため「給付制限を受けない」「雇用保険の加入期間が、会社を辞めた日以前の1年間に6カ月以上」となるのはもちろん、所定給付日数が最大180日も優遇されることになります。

他にも特定受給資格者の範囲は定められてますので、こちらでチェックしてみてください。

《特定理由離職者》

特定理由離職者と認められる離職の範囲は、6つに分けられます。
特定理由離職者の範囲は、特定受給資格者と比べてかなり広くなっていますので、自己都合退職の方はぜひ一度ご確認ください。

  1. 期間の定めのある労働契約の期間が満了し、かつ、労働者が更新を希望したのに、労働契約の更新がないこと
    ⇒「給付制限を受けない」「雇用保険の加入期間が、会社を辞めた日以前の1年間に6カ月以上」「特定受給資格者と同じ所定給付日数の優遇措置(令和4年3月31日まで)」
  2. 体力不足・心身の障害・疾病・負傷・視力、聴力、触覚の減退などで退職した
  3. 妊娠・出産・育児などにより退職し、受給期間延長措置を受けた
  4. 父もしくは母の死亡・疾病・負傷などで、父もしくは母を扶養するために退職を余儀なくされた場合、または常時本人の看護を必要とする親族の疾病・負傷などのために退職を余儀なくされた場合のように、家族の事情が急変したことによって退職した
  5. 配偶者または扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことによって退職した
  6. 結婚に伴う住所の変更、育児に伴う保育所の利用、交通機関の廃止または運行時間の変更、事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避等を理由に、通勤不可能又は困難となったことにより退職した
    ⇒「給付制限を受けない」「雇用保険の加入期間が、会社を辞めた日以前の1年間に6カ月以上」

1のみ特定受給資格者と所定給付日数の優遇措置を、令和4年3月31日までの期限付きですが、受けることができます。

4 失業保険がもらえる期間

4-1 所定給付日数

《自己都合退職》

自己都合の場合の仕組みは、いたってシンプルで、3パターンになります。
詳しくは下記の表を見てください。

倒産解雇等以外の事由による離職者(就職困難者を除く)図表

ハローワークインターネットサービスから引用

まず押さえいただきたいのが、次の3点です。

  • 被保険者期間10年ごとに30日ずつ増えていくこと
  • 被保険者期間が1年と20年以上の人の差が、たった60日分の差しかないということ
  • 年齢では給付額が増減しないこと

長年勤めていたからといって、大きな恩恵を受けられるわけではありません。
なので、自己都合退職の場合は、退職までに就職先を見つけるか、生活できる貯えをして、なるべく基本手当をもらわずに、いつか来るかもしれない会社都合での退職に備えた方がいいかもしれません。

ただ、1年以内に次の職場に就職しないと、被保険者期間が通算することができなくなるので、それも頭に入れておきましょう。

《会社都合退職》

会社都合での所定給付日数は、一度下記の表をご覧ください。

倒産・解雇等による離職者(就職困難者を除く)図表

※補足2 受給資格に係る離職日が2017年3月31日以前の場合の日数

ハローワークインターネットサービスから引用

このように会社都合での退職の場合は、被保険者期間と年齢に応じて細かく、所定給付日数が定められています。
被保険者期間は1、5、10、20年の4区分、年齢は30、35、45、60、65歳の5区分となっており、その両方で自分がどこに当てはまっているかチェックする費用があります。

またそのどちらかがボーダーライン上にあるときは、それを超えてから退職する方法がないか、検討すべきでしょう。

もちろん、解雇や倒産などの突然退職になってしまうケースでは、検討の余地もありませんが、希望退職(離職前1年以内に導入され、かつ、募集期間が3カ月以内のものに限ります)の場合は、退職時期を多少は調整できるかと思いますので、表を見ながら検討してみて下さい。

4-2 受給期間

失業保険は、受給期間内にしか受け取ることができません。原則として「会社を退職した翌日から起算して1年間」とされています。
この期間を過ぎると、所定給付日数がいくら残っていても、取得した失業保険の受給権を失ってしまうのでご注意ください。

特に会社都合で退職した、被保険者期間が10年以上ある特定受給資格者の方は、所定給付日数が多いので、すべての日数分をもらいきれない可能性があるということも、頭に入れておいてください。

4-3 給付制限と待期期間

上記の受給期限1年間には、給付制限と待期期間も含まれます。

待期期間とは、退職理由が自己都合・会社都合にかかわらず、必ず設けられる「失業状態」の様子見期間です。
この期間は、ハローワークに離職票を提出した日から7日間と定められており、この期間にアルバイトをすると、その日分延期されてしまいます。
待期期間が終了すると、会社都合で退職した人は、給付制限はなく、支給対象期間が始まりますが、自己都合で退職(特定理由離職者を除く)した人は、3カ月間の給付制限を受けないと、基本手当は支給されません。

この期間があることを踏まえて、気づいたら受給期限が過ぎてしまったということがないようにしましょう。

4-4 受給期間の延長

受給期間内に働くことができない状態が30日以上続いた場合は、「受給期間延長」の手続きを行うことで、働くことができない日数を受給期間に加算することができます。
延長手続きができる事由を見ていきましょう。

 《最長3年まで延長可能な事由》
  • 妊娠・出産・育児(3歳未満に限る)などにより働くことができない
  • 病気やけがで働くことができない
  • 親族等の介護のため働くことができない
  • 事業主の命により海外勤務をする配偶者に同行
  • 青年海外協力隊等公的機関が行う海外技術指導による海外派遣
《最長1年まで延長可能な事由》
  • 60歳以上の定年等により離職し、しばらくの間休養する(定年後の継続雇用制度の終了により離職した者を含む)

期限内に手続きをしないと、延長できなくなりますので、早めの手続きを心がけましょう。

4-5 受給期間の特例

次の該当すると、例外的に離職日の翌日から1年間に一定日数が加えられた期間が受給期間となります。

①所定給付日数が330日の場合 離職の日の翌日から1年間に30日を加えた期間
②所定給付日数が360日で、給付制限を受けない場合 離職日の翌日から1年間に60日を加えた期間
③個別延長給付の要件を満たした場合 通常の受給期間に30~120日を加えた期間

原則の1年間の受給期間だと、すべての日数分を受給できない可能性が高いため、このような特例が定められています。

5 失業保険はいくらもらえるのか

5-1 計算方法

では失業保険の計算方法について説明したいと思います。
計算式は次の通りです。

失業保険の日額(基本手当日額) = 賃金日額 × 給付率

「賃金日額」とは、「退職前6カ月間の給与の総額(賞与は含まない)÷180」で算出します。
この給与は、残業代や各種手当も含め、社会保険・税金などを控除する前の額を用いるのが特徴です。

そして給付率は、50~80%(60~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。
失業保険の日額は、年齢区分ごとにその上限額が定められており、現在は次のとおりとなっています。

離職時の年齢 失業保険の日額の上限額
30歳未満 6,815円
30歳以上45歳未満 7,570円
45歳以上60歳未満 8,330円
60歳以上65歳未満 7,150円

※令和2年4月30日現在

5-2 結局最短いつからもらえるの?

では実際いつからどのぐらいもらえるのか、例題を見ていきましょう。

《例題 自己都合退職の場合》

◇Aさんの場合
・年齢:29歳
・勤続年数:6年
・6カ月間の給与合計:150万円
・賃金日額:8,333円(150万円÷180日)

5-1の計算式を用いて「失業保険の日額」を求めます。
失業保険の日額 = 8,333 × 給付率(※50~80%)
= 5,531 ※計算が複雑なため、計算工程は省略

4-1の所定給付日数の表をあてはめます。
Aさんは勤続6年なので、90日になります。

Aさんの失業保険の合計額=5,531円 × 90日 = 497,790円
となります。

振込みの目安は、給付制限3カ月を加味すると、退職から約4か月後になります。

《例題 会社都合退職の場合》

◇Bさんの場合
・年齢:55歳
・勤続年数:25年
・6カ月間の給与合計:180万円
・賃金日額:10,000円(180万円÷180日)

5-1の計算式を用いて「失業保険の日額」を求めます。
失業保険の日額 = 10,000 × 給付率(※50~80%)
= 5,954 ※計算が複雑なため、計算工程は省略

4-1の所定給付日数の表をあてはめます。
Bさんは勤続25年なので、330日になります。

Bさんの失業保険の合計額=5,954円 × 330日 = 1,964,820円
となります。

振込みの目安は、給付制限がないため、退職から約1カ月後になります。

詳しいスケジュールに関しては、次の6章で説明していきます。

6 手続きの流れ

6-1 フローチャート

では手続きの流れと時系列を見ていきましょう。

ステップ1:退職前

できれば退職前に、「雇用保険被保険者証」があるか確認しましょう。会社が保管している可能性が高いので、見つからなければ会社の総務部に問い合わせしてください。

ステップ2:退職後

退職後、会社から約1週間ぐらいで「離職票」が送られてきます。2週間ぐらい経って、送られてこない場合は、会社側が手続きを忘れている可能性があるので、問合せしましょう。

離職票が届いたら中身をチェックしてください。
特に会社都合での退職の人は、「離職票-2」の離職理由が会社都合になっているか確認しましょう。
ここが自己都合になっている場合は、異議有に〇をつけてハローワークに提出してください。
証拠書類の用意や理由を書面にまとめておくといいでしょう。

ステップ3:ハローワークで求職の申し込み(受給資格決定日)

離職票が持って「求職の申込み」をしに、住居を管轄するハローワークに行きましょう。
その後、窓口で次の必要書類を提出し、初日の手続きは終了となります。

  • 離職票(1、2)
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード等)
  • 身元確認書類(運転免許証等)
  • 最近の写真(縦3.0cm×横2.5cm)2枚
  • 印鑑
  • 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード

ステップ4:受給説明会への出席

初回の手続きが終了し、7日間の待期期間の満了後、受給説明会に出席することになります。
ここでは、制度に関する仕組みや注意事項、公共職業訓練についても説明があります。提出書類の書き方の説明もありますので、聞き漏らさないようしましょう。
またその日に、失業保険の受給資格を証明する書類である「雇用保険受給資格者証」を渡されます。
今後、認定日ごとに提示することになる大事な書類なので、大切に保管しておきましょう。

ステップ5:初回の失業認定日

受給資格決定日から4週間後に、受給資格者証と失業認定申告書を提出し、失業の認定を行います。
失業認定申告書には、求職活動を行った日付や内容、アルバイトをしていたらその日にちなどを記入し、失業していると認められた日数分の基本手当が支給されます。

会社都合退職の場合は、3週間分を限度(7日間の待機期間は支給されないため)に支給されます。
失業認定日から3.4日後ぐらいに支払われます。


以後、4週間ごとに設定される失業認定日に出席するたびに、認定されれば4週間分の失業保険が支給されるという流れになります。

提出書類の書き方については、ハローワークインターネットサービスのサイトの記入例を参照して下さい。


しかし、自己都合退職の場合は、給付制限期間がありますので、すぐに失業保険をもらえるわけではありません。
3カ月間の給付制限期間が終了すると、次のステップ6へ進みます。
なので自己都合退職者にとっては、この日はただの待期期間が満了したかの確認で終わります。

ステップ6:第2回失業認定日(自己都合退職者)

給付制限3カ月の期間満了の翌日から、1~3週間後に失業の認定を受けます。
1~3週間分が限度(給付制限期間満了日の翌日から2回目の失業認定日の前日までの日数分)に支給されます。
そこからようやく3.4日後に、初めての支払いがあります。

以後、4週間ごとに設定される失業認定日に出席するたびに、認定されれば4週間分の失業保険が支給されるという流れになります。

7 注意事項について

7-1 求職活動について

失業認定日に、決められた回数の求職活動の実績がないと、失業保険は支給されません。
次の表が回数の目安になります。

会社都合の場合 求職活動実績
初回認定日までに 1回以上(受給説明会を含めてOK)
前回の認定日~2回目以降の認定日の前日までに 2回以上
自己都合の場合 求職活動実績
給付制限期間中~認定日の前日までに 3回以上(受給説明会を1回とカウントしてOK)
前回の認定日~2回目以降の認定日の前日までに 2回以上

つまり会社都合・自己都合退職に関わらず、失業認定を受ける期間に2回以上の求職実績が必要というのが、原則です。
初回の認定日のみ例外として、受給説明会に出席すれば求職活動の実績がクリアということになります。

ただ自己都合退職の場合は、3カ月間の給付制限期間があり、認定日まで十分な期間がありますので、受給説明会+2回以上の求職活動を行ってくださいという感じです。

また認定日当日にハローワークで職業相談などを受けても、今回の認定日の求職活動の実績にはカウントされないので、注意してください。
当日の実績は、次回の認定日の実績としてカウントされることになります。

7-2 アルバイトしたいけど、ダメですか?

待期期間の7日間に、アルバイトをするとその日分、待期期間は延長されますので、待期期間中のアルバイトはなるべく控えてください。

待期期間後もアルバイトなどで収入を得た日は、失業保険が消滅するわけではありませんが、後回しになります
受給期限は1年以内と決まっているので、所定給付日数が多い場合は、期限内に受給できないということにならないようにしましょう。

また給付制限期間中であっても、アルバイトをし過ぎると、「就職した」とみなされるケースもあるので、事前にハローワーク担当者に確認しておきましょう。
ハローワークによって、「就職した」と判断される日数はそれぞれ見解が異なるようなので、事前に確認し、その目安を手帳などにメモしておくことをお勧めします。

7-3 失業したら配偶者の扶養に入れるか

まず税金面では、年収103万円未満と認められれば、配偶者控除を受けることができます。
ただ社会保険上の取り扱いは、すこし違います。

失業保険を受給すると、税金の対象とはなりませんが、社会保険上では収入として扱われ、健康保険の扶養家族と認められないケースがあります。

これは「基本手当の受給額が10万8千円未満なら認める」「受給期間の終了が確認出来たら認める」など、配偶者の会社が加入している健保組合によって、異なりますので、事前に要件の確認をしておくようにしましょう。

まとめ

失業保険を受給するには、最低でも①雇用保険の被保険者であったこと②被保険者期間の月数③失業していて、働ける状態であるという、この3つの要件をクリアしなければなりません。

失業保険をもらえる日数や給付金額の計算方法も、大変複雑になっています。

この記事を最後まで読んで頂いた方は、失業保険の基礎知識から、煩雑な制度仕組みや一連の手続きの流れまでを学ぶことができたのではないでしょうか。

きちんと制度を理解し、自分の次のステップのために、有効に活用してください。

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